不凍タンパク質(AFP)とは何か? 津田 栄

 
 
   

     膵島細胞(AFP+)

 

  20日間保存後

   
(12/12)近年、不凍タンパク質(AFP)は”氷結晶結合タンパク質(Ice-binding protein, IBP)”と言う別の名前で呼ばれるようになってきています。AFPの水溶液がエチレングリコール等のような不凍性を示さないためですが、私たちは”不凍”もおかしくはないと考えています。私たちが目にする氷はツブ氷、すなわち単結晶氷が無数に融合したものです(page 2)。そうした単結晶氷が凍結寸前状態の水中に発生し、過飽和状態になったときに凍結(相転移)をもたらすのだとすると、AFPは個々の単結晶氷に結合することで、それらが過飽和状態になることを抑制する(=不凍機能)と考えられるからです。しかし、この仮説には検証が必要です。なお、昆虫AFPを含む細胞保存液(UW液)に膵島細胞(RIN-5F)を浸して−5℃で”凍らせずに置いておくと、20日後であってもその53%が生きていることが分かっています(UW液だけだと2日で0%)(Yamauchi et al.[1])。こうした結果が仮説に深く関係していると思われます。今後の更なる研究がAFPの不凍機能の全容を解明していくことでしょう。(-> page1)(-> home